BRST!



「し、しょうがねーだろ!何て言えばいいか分かんなかったんだよ!」

「めっちゃ勘違いしたんですからね!完全に愛想尽かされたと思ったんですから!もう……本当に、」



あれ、と。


思ったときには目から涙が溢れ出していて。


泣くべくして泣いた訳ではない私は、とめどなく溢れる涙に驚き戸惑っていたのだけれど。


そんな私を至近距離から見つめていた昴くんは、ゆるりと目許を緩めて私の手を取った。


歯型のついた、左手の、薬指を。



「物なんか代えがきくだろ。」

「…、」

「でも稜はたった一人だけだ。」

「、」


< 463 / 945 >

この作品をシェア

pagetop