BRST!



現在、本当は総は金髪だけれど、学校にはウィッグを被って行っているため彼女は事実を知らずにいる。


自分の好きな人に隠し事をするなんて、本当はすごく辛い筈なのに。私が口出ししていい問題じゃないのは明らかで、長年目を瞑っていたんだ――…。




―――――――――――――――
―――――――
――――…



《総 side》




――AM1:47


自宅へと向かう道中、車内からスモークガラスに視線を向ける。


思ったよりも遅くなっちまった。こんな真夜中になるなら倉庫に泊まれば良かったかもな。


「総長、着きました。」

「…ああ、ご苦労だったな。」


専属の運転手と言葉を交わし、もう一本向こうの道に位置する自宅へと歩を進める。


そして自宅の前まで着き敷地を跨いだ、そのとき。


「!?」


一度鋭い視線を感じて思わず振り返り目を凝らす。が、人影ひとつ見つからない。


< 54 / 945 >

この作品をシェア

pagetop