BRST!



「(…気のせいか?)」


最近、うちの下っ端が正体不明の連中から闇討ちに遭っている事件。いくら問い詰めても親玉の名前を吐こうとしねえ。


そのせいで気が立っているのかもしれねーな、と自己完結。…後に俺は、このときの判断を死ぬほど後悔することになる――。




―――――――――――――――
――――――――
――――…



《ゆき side》




――PM3:50


「清水ー。」
 
「あ、先生。」


今日最後の授業を終え鞄を引っ掴み、足早に教室を出ようとしていたとき。担任の先生があたしを呼びとめた。


「悪いが、高山の家にプリント届けてやってくれないか?学校からの急ぎの手紙もあるんだよなあ。」

「えー…。」


そんなの、休んだ総が悪いんじゃん。てか学校休むんならメールのひとつくらいしろよ。むかつく。


「じゃあ頼んだからなー。」

「え、ちょっと先生!」


うわあ押しつけやがったあの教師!…仕方ないなあ。今までは稜がこの役目だったんだっけ。


「(…。)」


稜がいないと、なんかうまくいかないや。あたし達三人いつも一緒だったからさ。そういや稜が残していったあの言葉。


『ゆき、総と二人なんですからチャンスですよ!自分の気持ちに素直になってくださいね。』


…ごめん稜。あたし、すんごく意気地なしだ。総に気持ちを伝えられる日なんて、本当にくるのかな―…。


< 55 / 945 >

この作品をシェア

pagetop