たぶんこれを、初恋と呼ぶ


 粘着ローラーをコロコロしながら梅ちゃんを待っていると、程なくしてピンポーンと呼び鈴が鳴り響いた。


ドアを開けると、仕事の服装とはまた違う雰囲気の、ワンピース姿の梅ちゃんがいた。



「安尾くん、おはよう」

「おはよ。寒かったでしょ」

「ううん、厚着してきたから平気。よし、スーパー行こ」

「うん」



近所のスーパーで食材を買い込む。

こうやってスーパーで買い物をするなんてのも考えた事すらなかったので、もう全てが輝いて見える。




普段は全く料理をしないが、手伝える部分は手伝いながら2人で料理をした。

ちょうど家に貰い物のワインもあったので、それを2人で飲みながらだらだらと料理をした。

ある程度料理を終えて、後は時間待ちとなり、前もってレンタルしておいたDVDを観る事にした。



「あ、これ懐かしい…1作目観に行ったよね」

「うん。もう3作目まで出てたから、借りてきた」

「私続編全然観てないや。1作目、面白かったのに。安尾くんは?」

「俺も」


7年前、梅ちゃんと二人で映画館に観に行った。面白い作品だったが、1人で見るには俺にとって痛い思い出が強すぎた。


でもこうしてまた2人で観られる事に感動した。


料理が出来上がって、机の上に並べる。丁寧に飾り付けられていて、頑張ってくれたんだなあとつくづく実感した。


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