結婚前夜
確かにそうだ。

私の意見を聞く前に、殆ど彼が気を回して決めてくれ、最終的にこれでどうだ?と聞かれるだけで、最初から私の意見はなかった。

「そして、僕は、初歩的なミスを犯していたのさえ、気付かず今日まで過ごしていた。

人事部長にお見合い話をお願いしたから伝わっているものだと思っていたけど、直接言わなきゃいけない事だった。

本当にごめん。

山本優奈さん、君がこの会社に入社した時から、君が好きだ。

君には長く付き合っていた彼氏がいたから、諦めて他の人と付き合ってみたりもしたけど…。

君がフリーだと知った時、居ても立っても居られなかった。

外堀を埋める様にして、お見合いを断れない様な真似をして君を手に入れたけれど、君の意思を無視して手に入れても意味はない。

結婚してからでもいい。

僕の事を、好きになって下さい」

いきなりの告白に、私の思考は停止したままだ。

今、私の目の前にいるこの人は…。

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