契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
「私、あなたを受け入れることに、迷いはありません。でも、ここでは落ち着けないですし、恥ずかしいので……続きは、私たちの家に帰ってからにしませんか?」
彼を傷つけないよう、慎重に言葉を選びながらお願いする。
一瞬目を伏せて考える仕草をした彼は、やがて私の襟に手をかけ、はだけた部分を隠すように重ねながら言葉を発した。
「悪かった。こんな場所で……。少し、我を失っていた」
眉根を寄せ、すまなそうに謝罪をしながら、手早く私の着付けを直してくれる。
「いいんです……私は、彰さんに求めてもらえて、うれしいから」
「結奈……」
はにかんだ私を彰さんは慈愛に満ちた眼差しで見つめ、それから愁いを帯びた表情で静かに語りだした。
「お前には救われてばかりだが、俺にはどうしても自分の力だけで乗り越えたい壁がある。それが叶ったらすべて話すから……もう少しだけ、待っていてくれないか」
切なげに頼み込まれたら、自分の不安はいったん無視して頷くしかない。
「すまないな。おあずけばかりさせて」
申し訳なさそうに苦笑する彼にフルフル首を振って、それからあれ?と思い出す。