契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
「ひとり暮らしに慣れているから、同じ家に私という他人がいることに違和感があるとか?」
「いや、そういうわけじゃな――」
「あっ、私がこんな体型だから、幅取ってて邪魔みたいな?」
彼の言葉にかぶせ、泣きそうな顔で浴衣の袖にすがると、彰さんはこらえ切れなくなったように吹き出した。
な、なによ。笑うことないじゃない。
「お前ってホント……」
そんな言葉とともに、彰さんは私の背中に腕を回した。そのまま、ぎゅっと抱きしめられる。
え? どういう意味だろうこのハグは……。
大きなぬくもりにつつまれて、心臓が早鐘を打ち始める。
けれど、彼の言葉の続きはいつも通り甘いものではなかった。
「不思議なヤツ」
吐息交じりの低音で彰さんがささやく。
「なんですかそれ。褒めてるのかけなしてるのかわかりません」
不満をこぼしつつも、彼の広い胸と密着していることに胸の高鳴りが止まない。
やがて体を離した彼は、優しい微笑みで私を見下ろして言った。