契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
注文を済ませたあと、各々のプリンと飲み物をお盆に載せてテーブルにつく。
ほうじ茶と小豆、どちらも捨てがたい……と、二択になってもまだ迷っている私を無視するように、彰さんはほうじ茶プリンを手に取った。
……まぁいいか。決める手間が省けた。
気を取り直して小豆プリンを食べることにした。
「この滑らかな口当たり、すごい……! それに、上質なミルクと小豆の優しい甘さが最高に合います」
その美味しさを伝えながら彰さんを見ると、彼も感心したようにほうじ茶プリンを味わっている。
「なるほど。この、口の温度で溶けてしまうような滑らかさは素晴らしい。それにこの香ばしさ……ほうじ茶もいいものを使っているんだろうな」
そう言ってもうひと口、スプーンで口に運ぼうとした彰さんは、向かいから送られる私の熱い視線に気づいてくすっと笑った。
「こっちも食べたいのか? ……しょうがないな」
そのままスプーンを私の口元に持ってきた彼。
仲良しカップルがよくやる〝あーん〟の状況なのは恥ずかしいけれど、プリンのためだから仕方ない。私は素直に口を開け、ほうじ茶プリンの美味しさに浸った。