契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
「ありがとう。お前が気持ちを伝えてくれたおかげで、俺も決心がついた」
そのまま彰さんの顔がゆっくり近づき、彼の唇が私の唇をそっとふさいだ。
「ん、っ……」
一度目とは違ってちゃんと意味のある、優しいキス――。
甘酸っぱい感情が、じわじわと胸に広がる。
やらわかな感触に頭がぽうっとなるなか、離れていった唇が、息のかかる距離で甘くささやいた。
「結奈。俺たちこれから本気で愛し合って、本物の夫婦になろう」
その言葉は特別な響きを持って、私の心に優しく沁みわたっていく。
「彰さん……。はい。改めて、よろしくお願いします」
そう返事をすると、彰さんは私の背中を引き寄せぎゅっと抱きしめた。
私たちの結婚生活が、本当の意味で始まった瞬間だった。