契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
それは、今日一日を彼と過ごして確信した正直な思いだった。
背後の彰さんがぴくりと反応し、ゆるりと腕をほどくと、私の肩をつかんで自分の方を振り向かせる。
きっと、私の顔は赤いだろう。
空が夕陽で赤く染まるみたいに……彰さんの存在が、私の頬を赤く染めるんです。
この結婚はただの契約。最初はそんな軽い気持ちだったのにな……。
「彰さんのこと……好きに、なっちゃいました」
困ったように彼を見つめると、彰さんはふっと苦笑して言う。
「〝なっちゃった〟って……なんだよその不本意な感じ」
「いや、だって……彰さん、カッコいいけどひねくれてるから、まさか好きになるとは」
正直に言ってから、私はハッとして焦り始めた。
私ってば、告白した相手に失礼なこと言ってない……!?
しかし、彰さんは意に介した様子はなく、むしろ楽しそうにくすくす笑っていた。
「正直者」
「……す、すみません」
「謝らなくていいよ。だって、そういう部分もひっくるめて、俺を好きになってくれたということだろ?」
優しく尋ねられて、こくんと頷いた。
彰さんは両手で私の頬を包み込み、至近距離で瞳を覗き込む。