上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※


息が上がって朦朧としていると腰に当てていた結城課長の腕に力が入り優しい瞳で私を見ていた。

「チッ…… キリがないな。亜子はもう少し息が整ってから出てこい」

結城課長は舌打ちをしてボソっと言ったあと先に出て行った。
私はヘナヘナと床に座り込んで呆然としてしまう。


結城課長の考えてる事が分からない……。
会議室に呼ばれた時別れを告げられると覚悟したのに今のキスはなんだったんだろう。
とりあえず今は仕事に集中しなきゃ!


息を整えて平静を装ってからオフィスへ戻ると雅と恵菜ちゃんが心配そうな顔をして待っていた。
私は “ 大丈夫 ” と目で合図して自分のデスクへと戻った。



お昼休みになると2人に近くの洋食屋さんまで連れていかれてランチを取ることになった。
2人とはもちろん雅と恵菜ちゃん。

「いったいどうなってるんですか?」
「そうよ! 課長に何言われたの?」

3人でレディースセットを頼んだあと質問攻めにあってる私だけど、はっきり言って私の方こそ訳がわからない。
とりあえず今朝あった話を包み隠さず2人に話した。


「じゃあ、あの矢野さんって人は彼女じゃないってことですよね? だったらあんな誤解を招くような事しなきゃいいのに!」

「誤解って?」

私が聞くと恵菜ちゃんはコップの水をゴクッと飲んで話を続けた。

「会社の前でわざわざ待たせるとかないですよ! 一度や二度ならまだしも頻繁じゃないですかぁ! 何もないとしても藤田先輩っていう彼女がいるんだからもっと気を使うべきです!」

「たしかにね〜。亜子の何を疑ってるっていうのかしら?」

雅は頬杖をつきながら目だけ上を向いて考えてる。
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