ヴァンパイア夜曲
罪悪感が胸にこみ上げた。
彼女はずっとあの時のことを気に病んでいたのだろう。苦しげに顔を歪めるエリザに、なんと声をかけていいのか分からない。
「その傷じゃまともに動くのも厳しいぞ。…どうする?」
シドが、エリザを抱くルヴァーノに声をかけた。
すると、わずかに目を細めた兄はランディへと声をかける。
「ねぇ。君はスティグマ避けの魔法陣を張れたよね?」
ベイリーン家での記憶。確かに、ランディは札を使ってあらゆる効力を発揮する魔法陣を張ることができた。
頷いて返事をしたランディに、ルヴァーノは静かに言葉を続ける。
「悪いが、この部屋に魔法陣を張ってくれないか。部下はここに置いていく」
その瞬間。エリザの顔つきが、がらりと変わった。
懇願するような瞳で、ぎゅうっとルヴァーノの軍服を掴む。
「ま、待ってください…!私はまだ戦えます…!」
「無茶だ。そんな傷で、走ることだってままならないだろう。…君はレイシアを守ってくれた。それだけで十分だ」
ぐっと押し黙るエリザ。
ランディが部屋の四方に魔法陣を張り巡らせると、神秘の力が部屋に溢れた。