ヴァンパイア夜曲
すると、マーゴットの話を黙って聞いていたシドが低く呟く。
「ノスフェラトゥの話は聞いたことがある。…全員ヴァンパイアで構成される実力主義の軍隊で、国から派遣されたグリムリーパーとは別に民間から依頼を受けてスティグマの始末をしたり、治安を守る警察組織だと」
(そんなものがあるんだ…)
シドは職業柄、各地のヴァンパイアや軍事情に精通しているのかもしれない。
つまり今までの話から、ノスフェラトゥの動向を追っていれば運良く兄の消息が掴めるかも知れないということだろうか。
私の心中を察したマーゴットは真剣な表情で深く頷いた。
ずっと兄は死んだと思っていた。
会えなくなってから、本当に私は独りぼっちになってしまったと思っていた。
だけど十年の時を超え、また会えるかもしれないんだ。血の繋がった家族に。
胸に小さな明かりが灯ったような気がした。血が巡る温かな感覚とともに、希望の光が見えたのだ。
一方、シドはそんな私を見つめながら黙って何かを思案していたのだった。