ハロウィンの魔女たち
「うわ、今日やばい!」モチコは机の上に広げたタロットカードを見つめながら困惑した。
「良いか悪いかはっきりしないけど、何かあるって出てる」
「水晶でダウジングはしてみた?」占い用の振り子を置いた棚の側から早川レナが顔を見上げた。

山の手にあるマーガレト女学院は幼稚園から大学までの教育一貫校として市内では人気の学校だ。しかし、中々の難関校であることも知られており、外部受験で入る子の殆どが、県内の国立、県立高校の上位校の滑り止めで入ってくる子ばかりである。内部の授業は進度も早く、進学塾さながらフォローも手厚い。教科書も独自の物を使用し、難関大学への進学者も多い。だからこそマーガレト女学院の制服は子供を持つ親には一目置かれるように目立つ。
ないるは高等部2年、今にも潰れそうな占術部に所属する幼稚園からのエスカレーター女子だ。
成績は平均を少し下回るが、快活、天然系な女の子で不思議と周囲に敵を作らない性格をしている。
レナは高等部1年、ナイルの唯一の後輩である。
とはいえ、親戚でもあり口調はもっぱらタメ口である。
県立中学校から特待生として半年前に入学してきたレナは、勉強は勿論のこと、キチンとした印象のある三つ編みの眼鏡っ子だ。ナイルの事が大好きで、子供の頃から共通した占いの趣味と、カード占いの読解が苦手な従姉妹のホォローに入部した。
彼女は、来月、文化祭で使用する占い用の小道具の発掘の真っ最中である。正直、入部して半年近く経つのに、この古い木造の別館に何が置いてあるのかよく分かっていない。部屋の壁に備えつけられているアンティークの本棚には、魔術やら占いやらのオカルトな書物が挿してあり、無造作に積み上げられたダンボールの中には、それらに関した様々な道具や敷物がゴチャゴチャと突っ込んである。

「ねぇ、去年の文化祭で占術部って何してたの?」
いつの物か判らないような



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