恋愛イデアル。
内なる自然に耳を傾けよ。
・内なる自然に耳を傾けよ。

イデアルは女子高生だ。
CDの話題。長月遥と。教室で。
「そういえばアーノンクール指揮のドイツレクイエムを購入する予定なんですよ」
「アーノンクールか」

「あ、ごめん」
「いや、そういうことじゃないんだ。
所詮は他人だしな。
しかしクラシック音楽が内なる自然に耳を傾けたのは事実だと思う」とイデアル。
「しかし内なる自然というのは異質です」と長月遥。
「そうかもしれない。
我々が今ここにいるのは人間というハードウェアがあるから。
とはいえ今日はよく冷える」
「たしかに」
イデアルは少し沈黙した。
「昔、小学生の頃だが教室にはストーブがあった。
そこで友人とストーブを囲ったもの。
音楽や意識も結局は素朴な一体感でありシンプルな産物かもしれない」とイデアル。
もう冬だ。
四季が繰り返される。
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