恋愛イデアル。
意識にしてもそうだが。
「今日の夕食は焼き肉ね」

焼肉屋で料理を食べる女子高校たち。リンネ、イデアル、長月遥が焼肉店に集まっていた。

長月遥が厳かにいう。

「疑問なのだが、小説というのはどのようにして外の世界と繋がるのだろうな」

「そりゃ読書コミュニティだよ」
「そのコミュニティが虚構に過ぎない可能性はどこにあるのか」とリンネ。

「小説は主観的な幸福なんですよ」
「なぜ主観を必要とする?」

主観というのは意識だからだ、とリンネは唐突に思った。電撃的に。生きていること、苦しいこと、楽しいこと。それは意識が見せている脳の虚構だからだ。

しばらくリンネは慎重に言葉を選びながら意識と小説について説明する。それが上手く話せた、という自信は今のところリンネにはない。小説を書くのは、意識にしてもそうだが、人間の分からなさを前提として書くものだからだ。だから小説はもともとは難しい、とは言える。たとえば、一つは生物が意識を生じさせている基本的な理由は分からないからだ。
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