365日のラブストーリー
3
「へえ、まさかそんなことになってたとはねえ。良いところよね、元町。わたしも行きたいわ、神長さんと」
肘を広げて置くこともできないような狭い二人席で向かいには宇美がいる。運ばれてきたばかりの十割そばをすすりながら、にやにやと口元を上げている。
会社近くにある宇美行きつけの老舗蕎麦屋は、昼ピークを迎えている。慌ただしく食事を取るスーツ姿の中年男性たちには、恋の話が珍しいようだ。聞き耳を立てながら隣で頷く姿を見ていると、有紗は落ち着かなかった。
協力を仰ぐ以上は土曜日の一件を報告しなくてはならないと、宇美の昼食にくっついてきたのだが、なんだか恥ずかしくなってきた。
「神長さんにお礼をするつもりが、なんだかまたたくさんお世話になってしまって」
「それは別にいいんじゃないの? 神長さんが綿貫にお金を出す価値がないと思ってたら、朝食だけでもう解散にしてるでしょ」
「へえ、まさかそんなことになってたとはねえ。良いところよね、元町。わたしも行きたいわ、神長さんと」
肘を広げて置くこともできないような狭い二人席で向かいには宇美がいる。運ばれてきたばかりの十割そばをすすりながら、にやにやと口元を上げている。
会社近くにある宇美行きつけの老舗蕎麦屋は、昼ピークを迎えている。慌ただしく食事を取るスーツ姿の中年男性たちには、恋の話が珍しいようだ。聞き耳を立てながら隣で頷く姿を見ていると、有紗は落ち着かなかった。
協力を仰ぐ以上は土曜日の一件を報告しなくてはならないと、宇美の昼食にくっついてきたのだが、なんだか恥ずかしくなってきた。
「神長さんにお礼をするつもりが、なんだかまたたくさんお世話になってしまって」
「それは別にいいんじゃないの? 神長さんが綿貫にお金を出す価値がないと思ってたら、朝食だけでもう解散にしてるでしょ」