365日のラブストーリー
 それともそんな事情は彼にとってまったく無関係で、業務遂行のみを第一に考えているのだろうか。有紗は横目でちらりと神長を盗み見たが、案の定、表情からは何もわからない。

 無言の共同作業が終わりかけ、有紗が礼を言おうとすると「大変ですね」と、神長がつぶやいた。

「全国から一カ所に書類が送られてくると、書類を分けるだけでもそれなりの時間が必要ですね」
「でも今日は二人だったので早かったですよ? 提出締め切りが重なる時期なんて、何時間もかかることもあるし」

「そうですか」
「あ、でもいつもは総務部の方たちがやってくださってて。……でも忙しそうだから、暇なわたしがちょっとでもやりにこないと! なんて」

 実際、年中膨大な枚数の書類を扱う顧客管理課の忙しさに比べれば、人事部の仕事は時期によって波がある。ならした仕事量は半分くらいなのだ。
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