365日のラブストーリー
「何もないですよお」
 渇いてもいない喉に無理矢理水を流し込んで、有紗は動揺を隠す。

「宇美さんこそどうなんですか? 前に神長さんのこと気に入ったって言ってたじゃないですか」

「さすがに二十離れてるからあれだけど、この年になると相手は自分よりも年下がいいよね。年上と付き合うのも大変よ。相手の親の介護がすぐ目の前にあるってことを覚悟しなきゃいけないからさ」

「言われてみれば、たしかに」
「まだそんなの考えたことないでしょ。いいねえ、若いっていうのは。……で?」

 宇美に回したはずの質問が、ものの数ターンでブーメランのように返ってきた。

「森住さんってあんまりよく知らないんだけど、どんなかんじ? なんか、子供がいるんだってね」
 どうやら宇美の興味は、これまでほとんど絡みのない、千晃に向いているらしい。

「子煩悩ですごく優しいお父さんってかんじでした。仕事しながらでもちゃんとご飯も作ってるみたいで、すごいなあって」
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