君の言葉は私を刺す
第3章

交差する想い

【星那 side】




恋とか愛とか





好きとかヤキモチとか





そんなの私はよく分からない。





ずっとそう思っていた。




告白される方ではあると思う。




今もそうだから。




「えーーーと、君のことよくわからないし。今付き合おうとか、考えたことなくて。ごめんなさい。」




私がそういうと、苦笑いして帰っていく男の子。




いつもこの瞬間が嫌だ。




だって、分からないもん。




すずかや冬羽みたいに、恋したいとは思うけど、どこからが恋でどこからがそうじゃないのか。




どんなに恋の歌を聞いても、共感できることがないし。




歌詞に書いてあるような感情に私はならない。




「おぉーっと。今の聞いちゃってごめんね。」




影から男の子が申し訳なさそうに言う。




「いや、大丈夫。ん?冬羽の友達?」




「あー、やっぱり。ドラムの子でしょ?」




「うん。えと、星那です。」




何回か言ってるけど、誰だっけ?




「俺は早輝。いやー、かっこいいね。振り方が。」





「振り方にかっこいいとかないと思うけど。私は断ったあと、別に悪いことしてないのに、そんな気分になるのが嫌だし。」




正直に言ってみると、早輝は笑った。




「あははっ!うんうん。納得。冬羽の友達って。冬羽もそんなこと言いそう。」





そう笑っているこの人は、冬羽のことが好きなのだろうか。





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