もののけ姫に愛されて。。
「西園寺くん? ホンモノ?」

「大丈夫…? まだ、気分が…」

その言葉に、小さく…首を振る…

律は、美結の頬に触れる…

「ホントに?」

「帰りたくない。大丈夫だから…。そんなこと、言わないで…」

弱々しく、消え入りそうな…美結の声に、律は、きゅ…っと美結の身体を抱き締め…

「…分かった。ごめん…
楽しみにしていたの…知っていたのに…」

美結は、律に笑って見せる…

その笑顔は…、律にとっては、微かな違和感を感じずにはいられなかった…

「……」
《…この、表情…

あの人の…、笑い方に…似てるっ?》


が、すぐに…その考えを否定した…《そんかはずはない…》と。。

あれから、彼女は、美結の身体には現れていないはずなのだから…


「あのね、もう1つ…、聞いてもいい?」


美結は、律の瞳をまっすぐに見つめたまま…

「なに?」

「昔…、銀色の髪の女性を殺したよね…?」

「……っ」

美結の言葉に、律は、衝撃を受けた…

それは、美結には話していなかったはずだ…

自分と、前世での恋人だった…リアしか…、いまは知らないことだったはずだ…

「…どうして…?」

やっと…、それだけ言えた…


。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *


「りーつ…っ!」

修学旅行…2日目の夜…

律たちは、◽︎◽︎港にたどり着き、フェリーに乗り継いでいた…

律は、早々にフェリーのウッドデッキに出、出発前のフェリーから港や夜の海を眺めていた…

その、聞き覚えのある声に、我に返り、肩先を叩かれ…、振り返る…

「悠斗か…っ」

悠斗は、律が好きなスポーツ飲料を手渡し…

「なに? こんなトコで黄昏てるの?」

その言葉に、飲み物を受け取り…、悠斗から視線を逸らす…

「別に…、何も…」

「そういや、三枝は大丈夫? あの神社行ってから調子悪いじゃん?」

「…いまも、休んでるみたいだけど…」

そぅ、悠斗から受け取ったスポーツ飲料の蓋を開け、1口口にした…

「そっか…、」

「…西園寺くん…っ」

2人の背後から聴こえた声に、律と悠斗は振り返った…、顔色が少し良くなりつつあった美結だった…

悠斗は、【それじゃー】と、2人を残し、船内に戻って行く…

美結は、律の隣に来て…、海風で弄ばれる髪をどうにか抑えようとしていた…



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