もののけ姫に愛されて。。
第5章
「……っ」
《ここは…――?》


目を覚ました美結…、見慣れない天井…。薄暗い部屋…に、身体を起こした…

その自分の手を、握りしめている人の感覚…傍にあったベッドライトをつける…


ベッドの枕元に、美結の手を握りしめたまま…うたた寝している…

「…西園寺くん…」
《ずっと、傍にいてくれてたの…?》

と、その律の頬に手を触れる…


「……っ」
《あたしが…、側にいたら…

西園寺くんは、ずっと、気遣って…心配してくれる…

いつも、気にかけ…、優しくしてくれる…

でも…、それで、いいの?

何か、仕方なく…傍にいてくれてるみたい…っ》

【それは、美結のことが好きだからじゃないの?】


自分の想いを…、見透かすような…声に…。。美結は、大きくため息をついた…

「…私は、強くなりたいの…
貴女のように…」

そぅ…、独り言のように呟いた美結…

その声に、うたた寝していたはずの律が、パッと目を覚ました…

「…あ、三枝、大丈夫?」

「あ、…うん…。もぅ…、大丈夫…」

そぅ…、すぐ様…律から視線を逸らした…

「あのさ…、も…、修学旅行、止めて…帰ろうか?」

その、唐突…とも取れる律の言葉に、美結は、律に視線を戻す…

「っえ…? どうして…っ?」

「…こんな状態じゃ、修学旅行どころじゃないだろ? いつ、また…こんな風になるか…分からないし…」

そぅ言っている律の後ろに…、美結の瞳には、もう1人の男性の姿が見えた…

それは、美結の中にいる…彼女が言っている人なのだろうか…?

彼女が見せているのか…――?

「……っ」

【お前は、俺にとっては、ただの女としての道具でしかない。
いくら、子を孕んでも…俺の世継ぎではないからな…】

【この子は、貴方のお子なのに…】

そぅ…、自分を睨みつけるような視線を向ける…その男性の冷ややかな声…


これは、過去に…女性がその男性に受けた言葉…だろうか…?


そして…――

その男性の影は、美結に冷ややかな口付けを…、それが義務でもあるかのように…

「……っ」
《これは、彼女が、昔の西園寺くんに受けた…記憶…っ?》

【…処刑しろ…】

【貴方は、私の子を奪い…、私の人生の全てを奪っておいて…っ!
人ではないゎ…! 許さない!】

あの、遊園地で見た…玉座に座る男性…

数段下の紅い絨毯の上に、両脇を騎士のような護衛に取り押さえられている…銀色の髪の女性…


「……!」

その、夢なのか…現実なのか…、分からない現状に…

美結の瞳から、ボロボロと涙がつたい落ちた…

「三枝、どうした…?」

その、律の声に…我に返る…
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