羊かぶり☆ベイベー
すました顔で「新樹の星屑」を飲み干す。
隣に視線をやると、吾妻さんはまだ拗ねたフリを続けているようだ。
今回、顔を合わせたのは、まだ3度目だというのに、とても馴れ馴れしい。
最近の人って、こんなものなのかな?
でも、吾妻さんは、図々しいだけじゃない。
『今日の午前中も、まだ少し浮かない顔してたから、まだ解決してないのかなー、って』
『実際、解決はした?』
吾妻さんには、一切関係も無いことなのに、詮索しようとする口調も気になる。
まるで、ちょっと道ですれ違った人に家の中まで、ズカズカと土足で入って来られている様。
そして、ずっと見られている、その視線の圧が強い。
全てを覗かれているような、そんな感覚がする。
やっぱり、どこか苦手だ。
数時間前、どうして私は「もう一度会いたい」なんて思ってしまったのだろう。
「俺の顔ばっか見て、どうしたの。惚れちゃった?」
冗談だと分かっていても、吾妻さんがそんなことを言うものだから、思わず焦ってしまう。
「なっ! そんなわけありません!」
この図々しさには、本当に呆れる。