羊かぶり☆ベイベー



尚も私を真っ直ぐ見つめる汐里の真剣な表情に、吸い込まれそうになった。

思わず、口を開きかける。



「あ……」



私が何かを言おうとする姿に、首を傾げた。



「大丈夫。別に何にも無いよ」

「……そう?」

「うん。ただ……汐里の言う通り、緊張しちゃって」



自信無さげに、言ってしまった。

先ほどまで、2人で大笑いしていた空気は何処へやら。



「……慣れなくて」

「今で何ヵ月だっけ?」

「3ヶ月くらいかな」

「『くらいかな』って……それこそデートは?」

「夜ご飯に数回行った」

「へ、へぇ。見た目に反して、意外と彼は控えめなんだ?」

「ううん」

「違うの?」

「誘ってくれるけど、私が断っちゃうんです……」

「あらら」



ちゃんと自覚はあった。

確かにお誘いは頻繁ではない。

しかし、その度に「忙しい」などと理由を付けて避けてしまったことが、何度もあった。

だからと言って、こちら側から声を掛けることも無い。

避けてしまう理由の一つには、ユウくんの隣を歩く自信も持てないということもある。

ユウくん本人には、決して言わないつもりで居るけど。

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