羊かぶり☆ベイベー
「何?」
「みさおってさぁ、何を食べるときでも、本当に美味しそうに食べるよねぇ」
「えっ」
「いっつも思ってたけど。幸せそうに食べるよねぇ」
「そ、そうかな? 確かに食べるのは好きだけど」
「そうでしょ。伝わってくるもん。嫌味で言ってるんじゃないよ?」
「大丈夫。分かってるよ」
楽しくて、笑いながらお昼ご飯をいただいたのは、いつ振りだろう。
ここ最近お昼は一人だったから、こんなに楽しいのは、随分久し振りに感じる。
「彼氏にも言われない?」
不意に汐里から出た言葉に、思わず変な力が入った。
──この話題、今はきついな。
そう思いながらも、覚られまいと笑顔を作った。
いつもの作戦だ。
が、汐里にはそれが効かないのは、分かり切ったこと。
「イケメン彼氏の前じゃ、緊張して料理も喉通らないか」
悪戯っ子の様に笑う汐里の気遣いは、いつも有り難い。
逆に気を遣わせてしまっていること自体が、申し訳ないけれど。
汐里はいつも、それ以上は聞いてこない。
今日もきっと、そうしてくれるものだと思っていた。
それなのに。
「何かあった?」
うどんの手を止めてまで、私に注目する。
汐里は私を分かっている。
この外の世界で唯一、それを許せるのは彼女だけ。
そんな気がしている。