羊かぶり☆ベイベー



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気付けば、残業を始めてから1時間が経っていた。

返事が来るまでの時間稼ぎのつもりが、無心になっていたようだ。

さて、そろそろユウくんは、メッセージを見てくれているだろうか。

期待し過ぎるのはいけないので、自分自身を騙すように、何気無いフリをしてスマホを見る。



「……まだ見てないかぁ」



今日は直帰しよう。

デスクの周りを片付け、帰り支度を始める。

ゆっくりと手を動かしていると、頭にゆとりが出来てしまって、要らないことをついつい考えてしまう。

主に、彼氏であるはずの、ユウくんのこと。

今日のお昼の休憩時間、ほんの数時間前にようやく訪れた自分の気持ち。

2人きりの倉庫で言った「好き」は、偽物だったけど。

今なら、あのときよりは、マシな気持ちを伝えられる気がしている。

帰り支度を終え、自分の部署を出た。

帰りが遅くなることを、メッセージで親に伝えてあったのを取り消して、廊下を歩いていく。

1人静かに歩いていても、いろんな思いが巡る。

そして、ふと思う。

──ちょっとユウくんの部署の前、通ってみようかな。
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