羊かぶり☆ベイベー
「──説明は以上です。何か他に気になることはありますか?」
「はい」
「ん、何でしょう?」
「どうして、うちの会社に居るんですか?」
「ああ、それもちゃんと説明しておかないとね」
どこかぎこちない笑いを浮かべながら、吾妻さんは椅子に座り直す。
「実は俺、この会社から、社員さん達への相談業務委託の話をもらってね。普段は独立して、カウンセリングルームしてるんだけど」
「へぇ、吾妻さんって、自営業されてたんですね」
「何? そんな風に見えない?」
「はい」
「はは、正直過ぎ」
愉快そうに笑う吾妻さんにつられて、私の口角が上がりかける。
それを何とか抑えた。
「ほら、この前、みさおさんがお茶を出しに来てくれたとき」
「はい」
「あのとき、打ち合わせとか正式に契約をしてたんだけど。まさか、みさおさんとこんな形で繋がるとは、思ってもみなかった」
「私もです」
「それに……」
吾妻さんは言葉を止めて、そっぽを向く。