bitterlips
ピアニストがカエルの歌を弾くように
徹平は余裕の表情で
いろんなテクニックを即興で入れてくる。
俺が梓を見ると、梓は黙って頷いた。
それが、合図だった。
「これからよろしくね、快斗」
「ああ。よろしくな」
ベースの腕も作曲の腕も
今まで見たことが無いくらい
すごかった。
すごいとしか、言いようがない。
「もちろん、頂点目指してるよね?」
「まずはインディーズだけど」
「ふはっ。地道なのは好きだよ」
「ありがと」
徹平と笑いながら握手した瞬間
何の根拠もないけれど
『コイツとならいける気がする』
俺の全身に電気が走ったように
自信が沸々とわいて出てきた。