もう一度〜あなたしか見えない〜
家に戻ると、車は車庫にあり、灯りがともっている。


カギを開けるのも、もどかしく、家に飛び込んだ私は、夫のいる居間に入った。


「お帰り。」


そんな私に視線を向けて、そう言った後、夫はテレビに視線を戻した。夫の手にあるコンビニ弁当が目に入り、私の胸は痛む。


「ごめんなさい。」


夫の前にひざまずき、謝罪の言葉を述べようとする私に


「そんなことは、してくれなくていい。」


夫は静かに言った。


「済まないが、明日は早い。食事を済ませたら、すぐに横になりたいんだ。君は寝室に引き取ってくれないか。」


ソファ-の横に、掛布団と枕が用意されていた。もうお前と寝室を共にすることはない、そして話すことも何もない。その状況が、私にそう告げていた。


今は何を言っても、聞いてはもらえない。私は諦めて、力なく部屋を出た。
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