自称・悪役令嬢の華麗なる王宮物語-仁義なき婚約破棄が目標です-
今日は失敗続きで恥ずかしさは消えないが、イザベルの言う通り暗い顔をしていては、他の令嬢方に失礼であろう。

ミスをしてしまった分、余計に場の雰囲気を明るく楽しいものにしなければならないと、セシリアは清く正しく考えた。

ここへ来るまでの間は、悪事のターゲットを選ぶつもりで意気込んでいたというのに、今はそのことを忘れている。

それは、申し訳なさと恥ずかしさで、彼女の心がいっぱいになってしまったからであった。


別室に移動した参加者たちは、お喋りをしながらのティータイムを楽しむ。

サロンパーティーの一番の目的は、これである。

ピアノ、刺繍、レース編み、テーマはなんでもいいので、若い令嬢たちは友人との気ままな語らいを楽しみたいのであった。


バラの咲く中庭の見える室内には、六人掛けの丸テーブルが四つあり、そこにはサンドイッチなどの軽食と、甘いお菓子やカットフルーツが、ティースタンドに品よく並べられていた。

給仕をしてくれるのは、この屋敷のメイドたち。

紅茶を飲みながらのワイワイと賑やかなお喋りは、二時間半も続き、予定時刻を三十分ほどオーバーして終了となった。
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