初めまして、大好きな人



私は知らないフリをして
ショコラミントを一気に喉に流し込んだ。


伝票を持って席を立つ。


それに気付いたさっきの店員さんが
にこやかにレジへ立った。


私は男の人のそばを緊張しながら通り過ぎて、レジへ向かう。


「三百五十円ですー」


財布の中から五百円玉を取り出して店員さんに手渡した。


「百五十円のお釣りですー」と店員さんが
私にお釣りを渡した。


財布にお釣りを入れてレジに背を向けた。


チラッと男の人の席を見ると、なんと、まだ見ている。


ぽかんとした様子で、私をじっと見つめている。


なんで?どこかで会っているの?
でも、私の知っている人ではないし、
日記にもそんな人の存在、書いていなかったような。


「あっ」


一歩店の外に出て、私は気付いた。


そうだよ、一人だけいたじゃない。「不審な男」がね。


一昨日も昨日も、じっとこちらを見ていた男がいたんだよ。


もしかしたら、さっきのあの男はその人なのかも。


お店を振り返って窓の方を見る。


中はよく見えないけれど、
さっきのあの人はまだ中にいるんだよね。


不思議だ。


日記には気味の悪い不審な人って書いてあったし、
今の私もそう思ったけれど、何故か、気になる。


急に笑いかけられて戸惑ったけれど、
落ち着いて考えてみると悪い気はしない。


あの笑顔が妙に頭にこびりついていて、離れそうもない。


トクン、と鼓動が鳴った。


これは何だろう。気のせいかな?



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