初めまして、大好きな人



「じゃあ俺のこと、日記に書いとけ。
 そうだなぁ、イケメン大学生尚央って書いてくれてもいいぞ?」


「なんですかそれ」


「おい、敬語は禁止な。それも書いとけ。今書け!すぐ書け!」


何この人。強引な人だな。


仕方がないのでため息をつきながらもノートを開いた。


チラッと尚央を見ると尚央は飲み物を飲みながら
私のノートを覗き込んでいた。


まずい、多分これは人に見せるように書いていないから字は雑なのに。


見られたくないと思ってわざとらしく咳をする。


尚央は咳に気付いて、私を見た。


「何?見られると緊張する?」


「そ、そうです。あっち向いててください」


「やだ」


「や、やだ?」


「そう。やだ」


ああ、私の「高校生」っていう見解はある意味当たっていた。


この人、大学生で大人かもしれないけれど、精神年齢は高校生だ。


いや、中学生……下手をしたら小学生かもしれない。


童顔でそんな反応を見せられたらそう思ってしまう。


私が露骨に鬱陶しそうな顔をして見せても
尚央は一向に視線を逸らそうとしない。


ニコニコして飲み物を飲みながらこっちをじっと見ている。


「あの、本当に見られたくないんですけど」


「だから敬語禁止っつったろ、波留」


「み、見ないで!」


「あっそう?」


満足したようにようやく目を閉じた尚央。
私はノートに手早くメモを取った。
榎本尚央は変な服を着る大学生ってね。


どうせなら極悪人って書いておこうか。
まあ、それは冗談として……。


ちらっと尚央を見る。


あっ、よく見ると奥二重なんだ。
まつ毛綺麗。目元に泣きホクロがある。


よく見ると、瞼のところにも小さくホクロが見えた。


これは目を閉じないと分からないやつだ。


鼻は高くて、唇はほどよく薄い。


よく見てみると本当に顔立ちは整っている。


うわっ、肌綺麗すぎるでしょう。
女かお前は!て言いたくなる。


ワックスで整えてあるツンツンの髪の毛に
そっと手を伸ばしてみると、パチッと尚央の目が開いた。


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