略奪的なその恋に、本気の愛を見つけた
何を言われるか、想像がつくようでつかない。
“斉藤家の~”とか言い出す家庭だ。
今回も斜め上な発言があるに違いない。

だけど大抵の心構えはできているつもり。
ただ、緊張して向かう足取りは重いのだ。


斉藤家のリビングにお邪魔すると、ソファーに沈むように座る正広と、それを心配そうに見つめる両親の姿があった。
私の姿を確認すると、正広の父親が鋭い視線を向けてくる。
思わずぎゅっと手を握りしめた。

「結婚をやめたいそうだが、新しい男でもいるのか?」

「…違います。いません。」

ひどく冷たく疑いを隠さない声に、私は声が震えないように受け答えする。
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