敵役令嬢はラスボスに求婚される。
そして、今日は私の休みの日。
鍛錬も終わったし料理の仕込みも終わった。
することが無く、何をしようか悩んでいた。

「そういえば、本来なら私はこの時期王宮で過ごしているはず。物語とは違う生き方をして何か影響は出ないのかしら。」

ふと、そんな事が頭をよぎった。
物語は、本来王宮での聖女とセトワール王子の恋話だ。騎士団は、あまり関係しない。あっても私のお父様が、少し騎士団の話をするくらいだった。
読者として読んでるときは、二人の恋愛模様を見ていたので騎士団で起こったことはあまり気にしていなかった。 
でも、何か引っかかる。そもそも、なんで聖女って召喚されたんだっけ?この国で何か大きなことがあったから、召喚されたのは覚えてるんだけど、なんせ昔読んだ小説だから記憶が曖昧だ。
それに、シアロン団長。彼は騎士団の人間でありながら物語中で、何か大きな役割を持っていた気がする。
何だったけ?

色々と考えてみたけど、この小説を読んだのは警察学校二年生のときだ。
大まかなことしか覚えていないのである。

日が暮れ始めるとナルさんが、起きて警備に当たるのでそろそろご飯の仕上げをしなくてはいけない。
料理に火を通しながら、引っかかるモヤモヤの正体を考えていたが、答えが見つかる前に料理ができてしまった。

日が暮れてナルさんが仮眠から起きてきた。
「お疲れ様です。」
「はは、寝てただけだけどね。レイトアーノも美味しそうな飯をありがとな。」
そう言ってナルさんは、猛スピードで食事を終えて「じゃあ、行ってくるわ。ご馳走さん」そう言ってヴィアーヌさんと交代しに行った。

入れ替わりでヴィアーヌさんが帰ってきて夕飯を一緒にとった。

「何か、変わった事ありましたか??」

「…別に何もないけど。なんで??何か気になる事でもあるのか?」

「いえ、何もないなら良いんです。何も無いのが1番ですよね。」

「騎士達がタダ飯ぐらいって言われるくらいがいいに決まってる。そうならないのが現状だけどな。」

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