恋の餌食 俺様社長に捕獲されました

「えっとこちらは……?」


多香子はすぐに気を取り直したようにしてから、首を傾げた。


「私の……恋人なの」
「えっ! それは本当かい!?」


多香子の顔がこれ以上ないほどに輝く。


「久城一樹と申します」
「……久城?」


〝久城〟に反応して、多香子は激しく瞬きを繰り返した。


「おばあさまの主治医をしております、久城の息子です」
「あらやだ!」


多香子はそう言って口に手をあて、茫然と一樹を見つめる。
その視線が照れ臭いのか、一樹は何度も髪をくしゃっとさせた。

ニコニコと「そうなのね」と繰り返し、多香子はとてもうれしそうだ。

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