恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
番外編


大きな姿見の前で全身を映し、前後左右と何度もチェックする。
薄紅色に白い小花が咲いた訪問着が、梓の頬も朱色に染めていた。


「ね、おばあちゃん、変なところはない?」
「なーんにもないよ。どこからどう見てもべっぴんさん。王子様もさぞかし喜ぶだろうね」
「やだ、おばあちゃんってば」


梓は照れながら顔を押さえた。
今日はこれから、一樹の両親に会うことになっているのだ。

遠藤との一件が収束してから一ヶ月。
梓は、これ以上ないくらいに幸せな毎日を送っている。

ふたりのことが公になった社内は、一時騒然。絵梨に至っては、『どうして教えてくれなかったんですか!』と盛大なふくれっ面を向けられた。

今はそれも収まり、ウエディング系の雑誌を買ってきては梓に『ここは抑えるべきポイントですよ』と、いろいろアドバイスをくれている。
女子力がみごとにない梓には、とてもありがたい。

インターフォンに呼ばれて玄関へ向かう。きっと迎えにきてくれた一樹だ。
梓がドアを開けると、一樹は口を半開きにした状態でフリーズした。
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