代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉



「さっきは助かった……深山が居なかったら完全に逃してたな…ありがとう」



コクリと頷いて耳まで真っ赤だ。
高鳴る鼓動が今にも聴こえてきそうで瞳を閉じる。
もう離したくない。
ずっと側に居ろよ。
隣でいつも俺を見ていてほしい。



抱きしめる腕をトントンと叩く。
「あの…議事録仕上げて良いですか?」と真っすぐ前を向いて言ってきた。



「このままじゃダメ?」



「え……集中、出来ないです」



仕方なく体を離し、デスクの端に腰掛けた。
静かな空間でタイピング音だけが響く。



「そういや後は何語話せるんだよ?」



「英語くらいです。フランス語は以前からスピードラーニングを」



「スピードラーニングだけであそこまで話せるのか?」



「まさかこんなすぐに実践する日が来るとは思わなかったです…フフ」



「笑ってるけど凄い事だぞ?億単位のプロジェクトまとめたんだから」



「よし、終わった〜」



軽く伸びをした後、USBメモリを抜いた深山に再び迫り寄る。
デスクに腰掛けさせて至近距離まで詰めたら…慌てふためくその口を黙らせれるかな?



「副社長っ……落ち着いてください」



「約束、覚えてるよな?」



「え………あ…いや〜」



「今回の会議が上手くまとまったら、俺と…何て言ったっけ?」



「こっちに言わせるとかズルい…です」



ジリジリ詰め寄ったら深山の手が俺を制止する。
お前……今どんな顔向けてるか知ってる?
それ、逆効果だから。
余計止めれねぇから。






< 41 / 278 >

この作品をシェア

pagetop