代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉



「いいか?何言われても受け流すんだぞ?絶対に2人きりにはさせないけど、万が一俺の知らないところで何かされたらすぐに連絡しろよ?あいつどんな手使ってくるかわかんねぇから」



「何かされる事あるんですか?」



「あいつはな、各階に女が居るようなとんでもないタラシなんだ、仕事以外は尊敬出来ない奴だ」



でも仕事では認めてる相手なんだ?



「紗和だけは誰にも渡したくない」



真っすぐ見て言わないで。
その視線……耐えきれなくなるから。



「副社長、混同しないでください…今は私、秘書ですから」



「もう魔法解けちゃった?あの時の紗和じゃないの?」



その言い方はズルい………
言葉に詰まる私の頭をポンポンと撫でた。



「ごめん、ごめん。これからも宜しく頼むよ、深山秘書」



さっきより少しだけ顔色が良くなった気がする。
「え、病院ヤダ」って縛り付けてでも連れて行くから。
「どうせ点滴だろ?痛いじゃん」って子供か!



「副社長、ネクタイは?」



「あぁ、そうだった」



引き出しを開けるとズラリと並んだネクタイ。
すぐに選んで鏡の前に立つけどまだフラついている。



「副社長、こちらへどうぞ」



再びソファーを指す。
素直に座らせたら襟を立たせた。
私も隣に座りネクタイを受け取る。
向き合った状態で「失礼します」と首にネクタイを回したら、少し前にかがんでくれて顔が近付く。






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