代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉



後ろ姿しか確認出来ない副社長が今どんな顔をしているのかわからない。
早く、違うって否定して…!
周りの人達の目もあるよ?
あなた達、誰よりも目立つ存在なんだから……



「それは宣戦布告か?」



え、副社長…何言ってんの!?



「ああ、口説くのもこれで最後ってくらい……譲れないねぇ」



何ですか、この茶番は………
私、戻って良いですか?
副社長だって呆れてんでしょ。



「俺も譲れねぇよ……紗和だけはな」



戻ろうとエレベーターのボタンを押したところでギョッとした。
思わず振り返って2人を見る。
今、紗和って言ったよね?
堀越社長がハッパかけただけなのに何つい乗せられてんのよ。
受付嬢達もチラチラ見てる。



「だってさ、紗和ちゃん」



副社長で隠れてた堀越社長が私に見えるように顔を出す。
嫌でも視線が合ってしまう。
振り向かない副社長に堀越社長も止まらない。




「でもさ、紗和ちゃん俺達に興味ないってさ〜キスする前にそんな事言われたら萎えるけど〜ますます火がついちゃうよね?」



まるでこの状況を楽しんでいるかのよう。
僅かに震えてる副社長の右腕。
握る拳に嫌な予感がしてとっさにその腕を両手で掴んだ。
私に気付いた副社長は怒りを通り越した表情でこっちを見る。


絶対ダメだと首を振って「どうか冷静に」と告げた。
堀越社長の元へ足を進める。



「本日はご足労いただき有難う御座いました。お車手配出来ましたのでご案内致します」



一礼し連れて行く。






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