代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉
迎えの車に乗り込む前。
「また来るね」と言われたけど想定内。
「お気を付けて」と深くお辞儀して見送った。
振り返るとすぐ副社長に手を引かれ裏口の方を向いて歩き出す。
早足で途中転けそうになった。
非常階段の重い扉を開き中へ。
誰も居ない踊り場で壁側に立たされる。
両肩を持ちながら息は荒々しい。
副社長が言おうとしてる事……想像出来る。
でも今はやっとその瞳に映れた自分が嬉しくて……
振り上げそうになっていた拳を我慢してくれた事に心底ホッとしていて言葉にならないの……
悲しそうに見つめる瞳は徐々に潤んできてる……
「あっ……熱…!」
額に手を当てたら凄い熱で、そのまま頭ごと私の肩に寄りかかってきた。
支えるように抱きしめる。
立ってるのもままならないほど。
「副社長っ!?大丈夫ですか?」
首筋に荒い吐息がかかる。
支えてないと共倒れしちゃう状況。
「好きな女取られそうになって…冷静で居れる訳ないだろっ…!」
体が熱い………
副社長の体温が伝わってくる感じ……
ドキドキする胸の高鳴り……
きっともうバレてる……
ヤバイくらい鳴ってる……
「ていうか酷い……俺も興味ないとか言っちゃう…?」
肯定も否定も出来ないくらい今の私はヤバイ……
抱き寄せる手が徐々に理性を崩しかけていて自分を保てなくなっていく……
顔を上げた副社長の視線にドキドキして逸らせない。
「嘘でも俺の事…好きだって言えよ」
顔が紅いのは熱のせい……?
それとも………