クールな西園寺くんと、婚約したら。
「馬鹿も休み休み言えっての！！」


声を張り上げて叫ぶ私に、お父さんが怯えた子犬のように震えるのを見ながら、


どうせ、今回の婚約披露パーティの件も、お父さんはお人好しすぎて押し切られたに決まってる！とため息をこぼす。


お父さんの性格を考えたら断われっこないのは確かだ。


ましてや、自分が過去に口約束とは言え、約束していたわけだし。


……こうなったら、自分で何とかしなければ。

婚約披露パーティで思いっきり嫌な女を演じて相手から婚約破棄してもらうしか方法は、ない！？


まぁ、そもそもこんな庶民的に育った私が、いきなり御曹司の婚約者とか……相手に気に入られるはずがないんだけど。



「と、とにかく……日曜日は、美味しいものを食べに行く程度の軽い気持ちで参加しよう？な？」


「そんな軽い気持ちで参加できるわけないでしょ！！お父さんの能天気お人好しおバカ！！」


「こ、こら愛莉！本当のことだけど、面と向かって本人に言うことないでしょ？」


「お、お母さん……それはフォローになってないんじゃ」


「「お父さんは黙ってて！」」


「ご、ごめん……！」



あぁ、もう。
昨日までの穏やかな毎日を返して欲しい。




あと三日……、いつもなら休みの日は何よりも待ち遠しいものなのに、今は日曜日なんて永遠に来なければいいとさえ思っている。

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