🍓夫の溺愛(大学教授の場合。)

公園で



そう、愛情を溢れる程
注いでくれた父に
感謝しながらもたった一行の、
言葉を残す事しか出来なかった。

「よしっ。」

物思いにふける夜は肌寒い。
今までの生涯を振り返り
今からは自分しかいない。
そう決心して
公園を出ようとしたとき、
寂しそうに木の技を眺めている
男性を見つけた。

いやな予感を感じつつもそのまま
通り過ぎたが、暫く歩いて

      フッ
と後ろを振り向いた。

彼も美奈に気づいていて美奈を
見ていた。

それから彼が柔らかい声で
話しかけて来た。

「こんな夜に、なにをして
いるんだい?」


      「あなたは、?」


美奈は遥かに自分より
年上であろう彼を見て
聞いてみた。


「僕は研究にいきずまったら
個々に来る習性が
あるんだよ。」


見るからに頭良さそうな彼は
30は過ぎているだろう。

大人な雰囲気は何故か
父親を思い出させる。
勤勉で、優しくて…



「頭いいんだ~。
研究所の先生?」

「うん、そんなとこかな。
よかったら
少し話さないかい?」


美奈は普通だったら
警戒すべきだろうが
街灯に照らされた明るい
ベンチに腰掛けて
長い足を組む彼はどこか寂し
そうに見えて・・・
放っておけなかった。

世間話くらいならいっか!!

「私、今家を探そうと
思って考えてたら
こんな時間になってしまって」

彼はビックリしたように
目を開いて体をコッチに向けて
来た。
      「家出?」

彼は顔を覗き込みながら
深刻な顔をして聞いてきた。


 「家出‥とはチョットちがう
 かな?まあ似たようなもの
  ではあるけど‥。」


優しそうなふんわり七三の髪は
覗き込む大きな二重の目に、
女の子よりバッサバッサの
睫毛が、印象的だった。


彼はクスッと大人の様子で笑い、
長い足を組み直しながら


  「大変だったんだね。」
そう呟いた。

美奈はコクンと頷いた。

「じゃっ!!お腹空いたんで失礼
します。」


美奈は
赤い可愛らしいカジュアル
ワンピースに、
モアモアコートを羽織り
黒いリュックを背負っていた。


胸まである緩いカールの
掛かった髪は
キャラメルブラウンで
クルリンとした目は、
まるでロシア人形のように
可愛らしい。

見てくれの可愛さは母親
そっくりだ。


「ご両親は心配されてるんじゃ
ないか? 連絡入れなさい。」



美奈は
「担任の先生みたいな事言い
ますね。
こう見えて私独立したんです。
ほっといてもらえませんか?」

少しキッ目のトークを返す。
しかし彼は慌てた様子で

「ダメだ!
じゃあ僕が連絡しょう。
僕も教育者だ。
このまま知らない
ふり なんて、出来ない。」

美奈もいいですと断ったが
先生があんまりしつこいから
番号を押した。

暫く挨拶をしていたが

「 華南大学教授 
百武一郎太と
申しま す。
お嬢さんをしばらく
お預かりしま す。
私を信用して預けては
頂けませんか?」

「なっ、なにおおっしゃって
ます?」
美奈は一郎太の持つ美奈の携帯を
ガバッととりあげ
  
   「正気ですかぁ!!」
と叫び美奈は公園に響き渡る
声をあげた。

どうやら父親と彼は会話を終えて
しまっていたらしかった。

「お父上の了解は得たから、僕と
住めばいい
君の落ち着き先が決まるまで
僕が 君の保護者だ。
此処で合ったのも
何かの縁だろう。」


「え、は、はぁあああぁ!!」


「君はこんな夜中に野宿でも
するのかい?」

そう言うとタクシーを呼び
彼の住むマンションへと
連れて行かれた。

確かに寒いし真夜中になれば
もっと寒いだろう。
説得された訳では無いが
美奈は彼について行く事にした。

立派な石作り風のマンションは
今まで住んでいたどこの家より
立派で広かった。

















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