君からのヘッドフォン
和久は私の唇に人差し指を置いた。


「それ以上はダメだよ。

もう、これ以上、そんなこと言われたら、俺、栞帆のこと思い出にできなくなるでしょ?」

「…っ、わ、く…っ」

「俺も同じだよ。伝えても伝えきれない。
けどさ…、ダメなんだよ。

きっと、俺にも、栞帆にも。

お互いよりいい人が現れて、それで、みんなと同じように恋をして、好き合って、もっと素敵な、幸せなキスをする。

そんな人が現れるから。

だから、ちゃんと。忘れよう?」

「…っ、わく…っ、」

「栞帆、今度はちゃんといいやつ選べよ?」
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