君からのヘッドフォン
松下くんはそれだけ言うと、ただ黙って私のことを抱きしめてくれていた。


過ぎる時間があやふやになる。

何分経っただろうか、何時間も経っていたのだろうか。


ふと、体が離れる。


チラリと見上げた彼は淡く微笑んでいて。


「まぁ、俺の隣で笑ってくれる頃には…俺の名前も、ちゃんと呼べよ?」

「…ふっ、わかってるよ」


松下くんは、私の頭を撫でるとふわりと笑った。

それにつられて私も口が緩む。
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