53回君を抱いてわかったこと

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あれから1週間、あの子のことが頭から離れない



休憩時間にスマホを見ると男の子からのメッセージが来ていた




今日会いませんか?





私は馬鹿だから、少し嬉しくなって、いいよって返した




その日の夜また同じように食事をして、ホテルに行った




男の子はよく私に愚痴をこぼすんだけど、その愚痴もかわいくって聞いてて苦にならない




一緒にいると若い頃に戻れたみたいな気持ちになるし、正直言って楽しいと思うようになっていた




それから3回同じように会って、同じように何も起こらなかった




私にとって特別な存在になっていくのがわかったけど、半分、都合のいい女になってる?と思うようになった




でもなにもないし、話を聞いてくれる女の人って思われてるんだろうなって自分に言い聞かせた




そんなこんなで、金曜日になると毎週のように連絡があって、毎週のように同じ内容のデートをした














ホテルでいつも通りシャワーを浴びて、部屋に戻ると男の子はベッドに横になっていた




今日は疲れてるのかな?と思い、そっとベッドに腰掛け、風邪ひかないようにと思い布団をかけた




寝顔がいつにも増してかわいくて、見とれていると、男の子は目を覚まして照れくさそうに顔を隠した




男の子がシャワーを浴びて帰って来ると、私のいるベッドにそっと近寄ってきた




目覚めた?って聞くとまだ眠いと目を擦りながら言う




早く寝なよって言ったけど、本当はちょっと寂しかった




男の子はまだ寝ないって呟いて、私の髪に触れた



びっくりして振り返ると、今度は手を取ってじっと見つめてくる




私が思っていた以上に男の子の手は大きくて、たくましくて、ドキッとして目を逸らした



なんで逸らすんですか?僕、アユミさんのこと好きです。



真っ直ぐに伝えてくるから反応に困るし、男の子って思ってたのに急に男の人として見てしまう自分がいたことも事実だ




私は彼に対して好きという感情があるかどうかなんてすぐにはわかんなかったけど、その日、彼がぎゅっと抱きしめて、優しくキスをしてくれたから自分の気持ちに気づいてしまった





あの夜、私たちは重なり合った




欲が満たされるがままに抱き合った




この夜が1度きりでありませんようにと思ってたから信じられない




明け方4時半に2人で起きてお互いの家に帰る




毎週その繰り返しだった


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