嘘は必ずバレるから
未来の死を聞いたのは親からだった。


親から、未来が死んだって聞かされて


急いで未来の家に行ったら、家には未輝だけだった。


未輝の目は赤くなってて、泣いていたのがわかった


未輝は俺を見た瞬間、俺の胸ぐらを掴んだ


「····稜兄のばか」


それだけ言って未輝は静かにまた涙を流した


家に入って未輝の背中をさすっていたら


いきなり未輝が話だした。


「あの日さ、俺、未来姉と稜兄の会話聞いちゃったんだ。

俺知ってる。未来姉が稜兄の話を聞くのが楽しみだったこと。

稜兄が会いにくるといっつも笑顔だった。

だから、稜兄があの日いなくなったあと、未来姉になんで嘘をついたのか聞いたんだ。」




『 ねぇ、未輝。私、多分もう長くないの。

今はこうやってペラペラ話せるし、表情もかえられる。

けれどね、いつか、私は本当に······。

私にはミライがないの。稜や未輝にはこれからのミライがある。

私がいなくなったあとのミライがあるの。

稜はとても大事な人がいるから、私がそれを奪っちゃいけないの

稜は優しいから、私が好きって言うとあれこれ考えちゃうでしょ。

それに、悲しませちゃうでしょ。

だったら、私を嫌ってくれた方がいい。

私は稜が好きだから、大切だから···だからこれでいいの』



未輝は泣きながらあの日ことを語った


俺はそれを聞いてなんてことをしたんだろうと思った


未来は俺のことを考えてくれていたのに、俺は自分のことで精一杯だった


未来のことを考えてるつもりが実際は自分のことだけ


「はは···俺って屑だな···」


俺は自分の前髪をくしゃっと握り潰す


そんな俺を見ていた未輝が意を決したように口を開く


「······稜兄に、未来姉から最後の伝言

『私のことは気にせず、幸せになって』

だから、稜兄は未来姉を早く吹っ切って

ずっと悲しんでたら未来姉、悲しむから」


未輝はそう言って俺に無理やり笑いかけると


ゆっくりと立ち上がった

< 14 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop