この空の果てで
どうしたんだろう。
何となく、歯切れが悪かった。
忙しいと言っていたから、疲れが溜まっているのかもしれない。
家の鍵と言葉を探す。
「どうしたの?」
「あ、鍵をちょっと探していて……」
「夏穂さん、本当に面白いわ」
「いや、鍵を探しているだけですから……あった」
「ふふっ」
いい言葉は見つからなかった。
「……じゃあ、また電話します」
「ありがとう、待っているわ」
電話を切って部屋に入ると、得体の知れない怖さを感じた。
……そうか。
ホノカさんとの電話が楽しくて、一人の感覚を麻痺させていたんだ。
つまり、ホノカさんと過ごす時間はそれほど楽しいということ。
久しぶりの楽しいことに胸が高鳴った。
それと同時に、いじめなんて大したことがないんじゃないかと思えるようにすらなっていた。