この空の果てで
しばらくのコール音の後、電話に出るのがわかった。
「……」
「もしもし?わたしよ」
あまりにいつも通りだった。
いじめも、ホノカさんの声も、街の風景も。
わたしだけが、その「いつも」になれない。
「……」
「どうしたの?何かあった?」
何でこの人は。
何でホノカさんはどこまでもわたしを安心させてくれるんだろう。
「……いいよ、電話繋いでいて。
話したかったら話して。
話したくないなら何も言わないで良いから」
電話の向こうから聞こえるパソコンのキーボードをカタカタ叩く音を聞いていると、少しずつ荒れた心が凪いでいく。
「……ホノカさんは、」
「ん?」
「ホノカさんは、学校、楽しかったですか?」
遠回しに学校が嫌だと言っているようで、わたしが普通に生きられない子のようで恥ずかしかった。
でも、ホノカさんの答えは全くわたしが想像していたものではなかった。