この空の果てで



しばらくのコール音の後、電話に出るのがわかった。



「……」



「もしもし?わたしよ」



あまりにいつも通りだった。



いじめも、ホノカさんの声も、街の風景も。



わたしだけが、その「いつも」になれない。



「……」



「どうしたの?何かあった?」



何でこの人は。



何でホノカさんはどこまでもわたしを安心させてくれるんだろう。



「……いいよ、電話繋いでいて。

話したかったら話して。

話したくないなら何も言わないで良いから」



電話の向こうから聞こえるパソコンのキーボードをカタカタ叩く音を聞いていると、少しずつ荒れた心が凪いでいく。



「……ホノカさんは、」



「ん?」



「ホノカさんは、学校、楽しかったですか?」



遠回しに学校が嫌だと言っているようで、わたしが普通に生きられない子のようで恥ずかしかった。



でも、ホノカさんの答えは全くわたしが想像していたものではなかった。



< 24 / 92 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop