この空の果てで



泣いているところは絶対に、何があってもこいつらには見られたくない。



鞄を素早く掴んで教室のドアまで走り、そこからさらに走る。



「はっ?待てよ!」



「待てよ!」



「アイ、マナミ、追いかけて!

走れよ!さっさと!」



馬鹿みたいに揃ってエリ達が追いかけてくる。



足が震えていつもはなんてことない階段が長く感じた。



「何すんだよ!」



とにかく走った。



やっとの思いで校門まで行くと、さすがに追いかけてこなかった。



だけど、はっきりと呟いた声だけは耳に届いた。



「まじで許さねえ、車にでも跳ねられて死ね」



息がまともに吸えなかった。



走ったからだと思っていたけれど、怖かったからだと気付いた。



……怖い、もう無理だ。



先生だってわたしの話を聞いてくれない。



……ホノカさん。



カタカタ震える手で鞄を何とか開け、携帯電話を起動させてリダイヤルする。




< 23 / 92 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop