この空の果てで
泣いているところは絶対に、何があってもこいつらには見られたくない。
鞄を素早く掴んで教室のドアまで走り、そこからさらに走る。
「はっ?待てよ!」
「待てよ!」
「アイ、マナミ、追いかけて!
走れよ!さっさと!」
馬鹿みたいに揃ってエリ達が追いかけてくる。
足が震えていつもはなんてことない階段が長く感じた。
「何すんだよ!」
とにかく走った。
やっとの思いで校門まで行くと、さすがに追いかけてこなかった。
だけど、はっきりと呟いた声だけは耳に届いた。
「まじで許さねえ、車にでも跳ねられて死ね」
息がまともに吸えなかった。
走ったからだと思っていたけれど、怖かったからだと気付いた。
……怖い、もう無理だ。
先生だってわたしの話を聞いてくれない。
……ホノカさん。
カタカタ震える手で鞄を何とか開け、携帯電話を起動させてリダイヤルする。