この空の果てで
「あ、来た。
もう学校辞めたかと思った」
スマホだけを見て、馬鹿にしたように笑う。
いつものような甘ったるい口調がなくて、一瞬誰が言っているのかと思ったらエリだった。
あまりの態度の変わりぶりに笑ってしまいそうになる。
怖すぎて怖さを通り越して笑ってしまうのと同じだ。
「昨日やっぱり殺しておけばよかった」
席を立つとわたしの制服を掴み、壁に押し付けた。
朝の静かな教室に、よく響いた。
既に登校している数人は、見ていないようだけれど、こっそりと盗み見ている。
……最低だ。
ホノカさんとの電話を思い出す。
「顔に表情は出さないで欲しいの。
きっと図に乗ってまたいろいろやってくると思う。
言い返すことも、しないで」
「なんにも言わないとか、口壊れてんじゃないの?」
「……」
「今すぐ飛び降りてよ」
「……」
「10秒以内に答えないなら、落とすから」